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歴史街道丹後100kmウルトラマラソン完走記

大会前日19時40分、スタート地点であるアミティ丹後に到着。
前日受付は18時30分に終わっているのでここに来ても、とりあえずなにかが出来る訳では ない。だが、とにかくこの地に立ちたかった。



帰ってきた。
そう思った。

一度しか訪れてないこの丹後に抱く憧憬にも似た想い。なぜこれほどまでに惹きつけら れるのだろう? 初出場の昨年、100kmの永さに、コースの厳しさに、己の不甲斐なさに打ちのめされた。その悔しさをはらすチャンスを待ち焦がれたから であろうか? 

リベンジ? 
それもあるかもしれない。しかし1年ぶりのスタート地点に立ち、この胸に去来する想いはその一言で片付けられるほど単純ではない。今、無理に答えを見つけるのはよそう。明日、もう一度この丹後を走ればきっと答えは見つかるはずだ。

起床は午前2時、朝食を済ませ受 付会場には午前3時過ぎに入った。前日は選手駐車場でテント泊だったが台風の影響による強風のためテントが揺らされたり、車の出入りが多くろくに眠れてな い。睡眠時間は細切れに3時間ほどか。ただスタート前の高揚感で眠さはない。会場で受付をすませ、56km地点の弥栄庁舎行きの荷物を準備した。スター トのシューズはスカイセンサー。足底筋膜炎が痛むようであれば56km地点で履き替えられるよう荷物にはウェーブライダーを入れておいた。またスター ト時のウェアはランニングでスタート。これも、擦れて痛みがでた場合に備えてで着替えのTシャツを入れておいた。73.4km地点の碇高原総合牧場用の荷物は必要ないと判断し用意しなかった。

スタート時の気温は21℃ほど。かなりの強風で、この風が1日中吹くとなると少々厄介なことになる。ただスタート地点 に並んだまわりのランナーをみていてもそんなことを気にするそぶりはない。夜明け前から夕暮れ時まで、山も海も街も様々な場所を100kmに渡って走るのだ。スタート前の強風なんて気にしていても仕方ないのかもしれない。

4時30分スタート。先頭集団は号砲と同時に飛び出していく。わたしはその集団は追いかけずキロ5分半ほどのペースで丹後の町並みを走る。スタートしてからターゲット心拍数をパルスグラフにセットしてなかったことに気がついて時計をいじってみたがパルスグラフがまったく心拍数を拾わない。どうやらコードが断線しているのかそれに近い状態で接触不良を起こしているようだ。ただ今回はそれほど心拍数とにらめっこしながら走るつもりではなかったので慌てることもなかった。なければないなりに走ればいいだけだ。

ウォーミングアップと考えていた丹後の町並みも2kmほどで終わり最初の難関、七竜峠にさしかかる。あまり突っ込みすぎないように淡々と走る。スタートが3列目ほどに並んでいたのでまわりのランナーに速い人が多く、この登りでも抜くより抜かされるほが多い。

05km通過 25'36"
10km通過 51'12"

七竜峠通過。足下もろくに見えない中1000人を超えるランナーが海岸沿いの峠路を走り抜けていく。夜明け前の峠路を走る姿はどこか不思議だ。30m先のラ ンナーは姿が見えない。見えないのだが、たしかになにかで繋がっているのだ。同じ目的、同じ場所に向かう連帯感。吐く息が、刻むピッチの音がシンクロす る。

15km通過 1:16'48"
20km通過 1:42'24"
25km通過 2:08'00"
30km通過 2:33'36"

小天橋の近くを通り、久美浜、そしてふたたび七竜峠へ戻るコース。白い砂浜、エメラルドグリーンの海、サーファーたちの姿、まるで水と同じ高さの位置を走っ ているかのような海抜の低い場所、遠くに見えるゴルフ場、ひなびた温泉街、果樹園、一直線に延びる道。丹後の路はすべてが印象的で美しい。景色が変わるたびに昨年の記憶がよみがえる。喉の渇きを覚えた場所、立ち止まってしまおうかと思った坂、エイドで交わした言葉…このコースを再び走るまで日の目を見ることがなかったひとつひとつの思い出が、去年の自分が鮮やかに蘇る。




35km通過 2:59'12"
40km通過 3:24'48"
45km通過 3:50'24"
50km通過 4:16'00"


昨年足を痛めて歩き始めた35km過ぎの地点。走るのを止めたのはどの坂だったのだろうか?100kmは長丁場だ。コース攻略のために歩くという選択肢は必要だと思っている。無理な心拍ゾーンで走り続けるより、筋肉にダメージを与え続けながら走るより、ダメージを軽減することによって、結果100kmをベストの状態、ベストのタイムで攻略するべきだと思っている。ただ、積極的に歩くのと心が折れて歩くのでは違う。去年はたしかに足を傷めてしまった。でもそれと同時に心が折れてしまったのだ。

超えるべき去年の自分を探しながら走ったが結局どの地点か探し当てることは出来なかった。見定めることは出来なかったが去年の自分を振り切って40km地点通過。再び七竜峠を越えて44.6km地点の朝茂川漁港へ。このエイドでリタイアのことばかり考えていた昨年の自分を思い出す。今年は大丈夫だ。身体をあまり休ませすぎないよう食料補給もそこそこにスタート。



55km通過 4:41'36"
60km通過 5:07'12"

50kmからのラップタイムはおそらく間違っている。手動で時計のLAPボタンを押して計測していたのだが、距離表示の確認を誤ってしまったり、また操作を何度か間違ったのでここからあとのラップタイムはあてにならず、結局通過時間を確認するだけで計測を止めてしまった。


弥栄庁舎で荷物を受け取り、ランニングを着替える。やはり脇と二の腕が擦れてしまった。足底も疲れ切っていたのでシューズも履き替えることにする。どうせここから先はペースを上げて走ることなんか出来やしない。

60kmを超えて足が攣りそうになってきた。そのたびに少し立ち止まってストレッチを繰り返す。膝も足底も痛い。ふくらはぎも太腿も疲れ切ってちょっと動かし方を変えてしまうと攣りそうだ。ただ、昨年のようにどこかを傷めてしまった痛みはない。ペースは落ちたけれど進んでいける。

碇高原の登りにさしかかる。走れないと判断したら歩くと決めている。坂で苦しくなって歩いてしまうのは心が折れてしまったことにならないか?…自問自答を繰り返しながらノロノロと走りノロノロと歩く。大丈夫だ。この道から逃げ出したいと思ってはいない。リタイヤを考えて歩いてはいないのだ。走れてはいないけれどゴールにたどり着きたいと強く願っている。けっして折れて逃げ出してはいないのだ。

碇高原の登り途中で、すこし身体の調子がおかしくなってきてしまった。あまりきれいな話ではないのだが、走っている途中で尿意が我慢できなくなる。スタートから6時間以上トイレに行ってないのだから当たり前ではある。エイドでトイレに行ったのだが、トイレからでて走り始めた途端、我慢できなくなってトイレに駆け込みたくなるのだ。実際にトイレに行ってみても尿は全く出ない。しかたなく走り出すと再び我慢できないほどの尿意を感じるのだ。実はこれと同様の症状になんどか陥ったことがある。そのときは走り終わったあとしばらくすれば症状が治まったのでとくに気にもしていなかったのだが、今回はまだ走っている最中。動き始めるとすぐに尿意が我慢できなくなるのでは走りようがない。ただ症状としては以前感じた症状より若干ましな状態。とりあえず我慢しながら走ったり、休んで歩いてみたりを繰り返す。

途中のエイドでランナーの方に声をかけていただいた。そのエイドから先一緒に走らせていただく。とてもしっかりした足取りで前を引っ張っていただいたおかげでずいぶん頑張ることが出来た。ただ途中何度も足が攣ってしまったり、例の尿意の症状でそのたびに先に上っていただくようお願いをしたのだが、わたしが碇高原のエイドに到着するまでそこで待っててくださって、大変足を引っ張ってしまい申し訳ないことをしてしまった。

その彼と一緒に高原の下りを走る。彼は下りは脚が終わっているからキビシイと言っていたので、せめて下に降りる間でだけでも自分がペースを作ることで恩返しが出来たらと思って、なんとか尿意をこらえながら下った。下り終わった時点でなんとかあとを頑張って走ればサブ10にギリギリ間に合うか、悪くても10時間前半にはゴールできるくらいのタイムだったように記憶している。でもそれも走れればこそ、だ。碇高原を降りきった80km地点のチェックポイントを過ぎた最初のエイドで今度こそ先に行ってもらえるようにお願いして歩く。

膀胱炎、なのだろうか? ウルトラやフルマラソンを走ったランナーで血尿が出る人もわりと多いという話をどこかで読んだことがある。長時間の上下動による膀胱へのストレス、あるいは大量の水分補給で腎臓の処理が間に合わなくなることによって炎症を引き起こし、その炎症が尿意を感じる原因を作っているということなのかもしれない。とりあえず血尿を伴うところまではいってないのでダメージは軽微なのかもしれないが、症状が続くようだと診てもらった方がいいかもしれない。

80kmを過ぎて残り20km。去年も歩いてしまった道。理由こそ違えど今年も走ることが出来ない。歩いてしまうと乳酸が処理できなくなり溜まってしまうのか身体のあちこちが痛くなりよけいに走り出すことが困難になってくる。歩くことが苦しいし、精神的にも辛い。今年も折れてしまったのか?それだけが頭の中を駆けめぐる。いや違う。去年はこの道を早く帰りたいと思って歩いただけだ。今年はゴールしたいと思いながら歩いている。今の状況で、一番ベストなタイムで、一番身体にダメージを残さない方法でゴールにたどり着く戦術として「歩く」ことを選択しているだけなんだ、と自分に言い聞かせる。

一度そう思うとラクになってきた。大丈夫、心はまだ折れてない。晴れやかな気持ちで堂々と歩いてゴールに向かおう!

去年と同じ道を、また再び歩く。でも今度は心の敗者ではない。ウルトラランナーとして、だ。丹後の道は美しい。景色をゆっくり眺めながら歩くとあらためてそう思う。この美しい地を再び訪れたかったんだ。碧い海、清流のせせらぎ、ひろびろとした高原、収穫を終えた田畑、のどかな漁港、そのひとつひとつがいつしか我が心象風景となっていた。

帰ってきたんだ。やっとこの丹後に惹かれ想い続けていた理由がわかった。この景色の中を再び走りたかったんだ。

残り4km。看板を通過後おそるおそる走ってみた。大丈夫、走れる。最後は走ってゴールしよう。去年はラスト1km強、住宅地を通るコースを歩くことが苦しくもどかしかった。でもゴールテープをきったときは感激した…そんな記憶がある。

今年は…、
はずむ。足取りも、心も。

ニコニコしながらアミティ丹後までの残り1kmを走る。
最後の角を曲がってゴールが見えた。
やっと…、やっとウルトラのゴールにたどり着いた気がした。

あと、わずか30m。
悔しさに打ちのめされてないゴール。
最後までゴールをすることだけを望み、辿り着いたゴール。
涙はない。でも誇らしさでいっぱいだ。
そしてGOAL。

やっとウルトラランナーになれたんだ。

途中で励ましてくれた、エイドの皆さん、沿道の皆さん、ほんとうにありがとう。
声をかけてくださったランナーのみなさん、
お名前を聞けずじまいだったけど引っ張って走ってくださったランナーの方、
本当に、本当にありがとうございました。
途中、いっぱいいっぱいで声援にちゃんと応えることが出来なかったことがあったけど
みなさんのおかげで丹後を走りきることが出来ました。

丹後のコースは、厳しい。二度の七竜峠越え、碇高原以外でも、ほとんどの区間でアップダウンが切れ間なく続く。大会に出る以上タイムにこだわる気持ちも確かにある。それにこだわるならばもっと狙いやすいコースもあるかもしれない。でも、わたしにはこの丹後こそがウルトラ。だから100kmをどれだけで走ったかではない。丹後をどれだけ走れたかが自分の指標なのだ、きっと。

自分の心象風景と重なるあの丹後の美しいコースを来年どう攻略するか、これが大会終了後2日経って、わたしが考えていることだ。しばらくは丹後熱は病みそうにない。



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